2019年から5Gの概念の普及に伴い、エッジコンピューティングも注目されてきました。エッジコンピューティングはIoT・AIにおける活用・普及の推進に不可欠な技術だと考えられます。本記事では、エッジコンピューティングの定義・仕組みを説明するとともに、活用事例と課題に関して紹介します。
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目次
エッジコンピューティングとは
エッジコンピューティングとは「ネットワークの端末(エッジ)にサーバーを分散配置する」ネットワーク手法の一つで、その名を付けられました。クラウドコンピューティングとは逆で、ユーザーや端末の近くに配置されたサーバーでデータ処理・分析を行うことにより、上位システムへの負荷や通信遅延を解消できます。
現在、スマートフォンや IoT・AIの普及にしたがって、クラウドコンピューティングのデータ処理能力には限界があるので、エッジコンピューティングはますます注目するようになりました。
エッジコンピューティングのメリット
リアルタイム性 5Gの登場により、遅延を最小限に抑えるために、リアルタイム性が求められる場面ではエッジコンピューティングは非常に有効です。データ発生地のエッジ側で処理を行うエッジコンピューティングは低遅延のデータ処理が可能となります。
コストの削減 エッジ側でデータ処理をするエッジコンピューティングは最小限に必要なデータのみをクラウドにアップロードできるため、コストの削減が実現できます。
情報漏洩リスクの低減 データが発生する現場で処理を行うエッジコンピューティングはインターネットを介したクラウドへデータ伝送による情報漏えいのリスクを低減することが可能となります。
クラウドコンピューティングとの違い
クラウドコンピューティングはユーザーから離れた外部のコンピューターでデータ処理を行うことで、「各デバイスに依存しないデータ記憶容量と処理速度」と「すべてのデータは複数のデバイスで利用可能」などの利点を持っていますが、今IoT・AIの普及により、インターネットに接続するデバイス数が多ければ多いほど、通信遅延が発生する可能性欠点も持っています。関連記事:「クラウドコンピューティングとは?Public・Private・Hybridクラウドの特徴について」
例えば、以上の図表の左のように、エッジ側にデバイスが増えると、クラウドコンピューティング通信遅延でデータ処理が遅れる可能性が出てきて、自動運転車は交通事故を発生してしましました。その一方で、トラブル検知後の機器緊急停止や災害予知判断というリアルタイム性があるエッジコンピューティングはクラウドコンピューティングの欠点を補うことが可能です。
エッジコンピューティングの活用事例
近年、IoT・AI技術の急速な発展により、エッジコンピューティングの活用がますます期待されてています。エッジコンピューティングは自動車、農業、工場などのさまざまな産業で活用が進んでいます。以下は、いくつかの活用事例を説明します。
自動運転車
エッジコンピューティングの最も期待されたいる活用は自動運転車の開発です。コンピューター、カメラやレーダーを搭載した自動運転車は速度、場所、道路交通情報など毎日生成した約5~20テラバイトのデータはリアルタイムで整理、処理、分析、判断する必要があります。また、収集したデータは外部ネットワークと接続された自動運転車からクラウドに蓄積します。
高精度局所気象予測
エッジコンピューティングの技術は、広域の気象予測ができるだけでなく、局所での高精度な気象予測も実現できます。例えば、農業では農地辺りの気象データのみを収集するのは十分なので、すべての地域を高精度な予測をする必要がありません。そのため、エッジコンピューティングの導入により、各産業に低コストで十分で高精度な気象予測のデータを提供する可能です。
監視カメラ(顔認証・人物行動分析)
安全管理・無人監視・災害対策などの分野では、リアルタイム性を求めるデータ処理能力への要求がますます増えています。これにより、エッジコンピューティングが監視カメラを用いる産業内でも注目されています。例えば、会社・マンションの入退管理の導入事例としての顔認証装置は高精度と高速度の両立で数秒で顔の捕捉・体温検出ができます。また、駐車場では通過した人や自動車のナンバープレートの識別など、監視カメラを用いた用途が増えています。関連記事:「駐車場・駐輪場の防犯ガイドブック:設置場所・注意点を紹介」
エッジコンピューティングの課題
エッジコンピューティングの更なる普及に伴い、エッジコンピューティングにはセキュリティーやデータライフサイクルに関する課題があります。IoTデバイスに依存するアプリケーションはデータ漏えいのリスクがあります。もちろん、ネットワークを介した外部から受けた攻撃のリスクを低減できますが、内部的なセキュリティーに注意する必要があります。
データのライフサイクルに関しては、接続デバイスが多ければ多いほど、出力されたデータ量も増えてきて、ネットワークのエッジに保存される大量なデータが課題となっています。無駄なデータが重要なストレージスペースを占有することだけでなく、従来以上に高処理能力が必要となります。そのため、企業は保存するデータと破棄するデータを慎重に選択しなければならない上に、処理能力が上がれば、熱や振動などへの対策も取らなければなりません。