高信頼性を確保!データセンターにおけるUPSなどの設備冗長性について
小規模であろうと大規模であろうと、すべてのデータセンタ―にとってはアップタイムの最大化は最優先事項であると考えられる同時に、データセンターを常に稼働させるために、冗長化システムの計画が必要です。この記事では、データセンターにおける設備冗長、その役割、冗長化モデルをめぐって詳しく解説します。
設備の冗長化システムとは
データセンターにおける設備の冗長化とは、UPSユニット、冷却システム、バックアップ電源(発電機)などの重要なコンポーネントを二重化し、設備が故障してもデータセンターの運用が継続できるようにするシステムのことを指します。例えば、災害による停電が発生したときに冗長化されたUPSシステムは動作を開始します。また、停電や部品の故障によるダウンタイムがは発生したときに、冗長化された予備機がシステム全体の稼働を維持できる役割を果たしています。
役割
予期せぬ事態や計画的なダウンタイムが発生した場合、企業にとってはアップタイムの最大化とより素早く回復させることは不可欠なことが分かります。なぜなら、ブランドイメージ、事業運営、顧客体験に深刻かつ直接的な影響を与え、さらに壊滅的な金銭的損失、ビジネスチャンスの逸失、評判の悪化につながる大きな打撃を与えるためです。小規模な企業であっても、予期せぬ停電による1分あたり数百ドルのコストがかかる可能性があります。それにより、UPS設備の冗長構成はダウンタイムのリスクを軽減するのに役立ちます。 長い目で見れば、よく計画されたUPS設備の冗長構成は潜在的なダウンタイムリスクを軽減します。さらに、冗長化されたコンポーネントはデータのセキュリティーも確保できます。 冗長性は、データセンターの信頼性、パフォーマンス、可用性を評価する上でも非常に重要な要素です。また、米国の民間団体(Uptime Institute)はデータセンターをティア1、ティア2、ティア3、ティア4の4つの階層に分類して認証するシステムを提供しています。各階層には、データセンターの冗長性レベルに関する厳格で具体的な要件が定められています。
さまざまなレベルの冗長性
冗長設計については、万能のどんな場合でも通用するようなうまい解決法はありません。冗長性のレベルが低いと、ダウンタイムが増加する可能性があります。一方、冗長性のレベルが高ければ高いほどダウンタイムは少なくなりますが、冗長されたコンポーネントをメンテンコストは増えます。そのため、企業にとってさまざまな冗長化モデルの能力とリスクを認識した上で、適した冗長構成を選ぶのは非常に重要です。以下はN、N+1、N+X、2N、2N+1、3N/2モデル、さまざまなUPSなど設備の冗長化モデルについて説明します。
Nモデル
Nという用語は発電機、UPS、冷却装置などの複製したいユニットを指します。例えば、データセンターがフル稼働するために3台のUPSを必要とする場合、Nは3に相当します。そのため、NはITがフル稼働している状態で、施設の電力供給、バックアップ、冷却システムに必要な容量に相当します。 Nモデルは施設がフルロード時の施設のみを考慮して設計され、冗長性がゼロであることを意味します。データセンターの設備がフルロードの状態で、コンポーネントの故障やメンテナンスが必要になった場合、ミッションクリティカルなアプリケーションに支障をきたすことになります。
N+1・N+Xモデル
Nモデルは設備を稼働させるための必要な容量と等しい場合、N+1モデルはそれになどのコンポーネントを追加することで、最小限の耐障害性を実現し、フルワークロードを維持するモデルです。システムがオフラインになると、追加されたコンポーネントが負荷を引き継ぎます。通常、必要な4台ごとに1台追加のユニットが必要とされるため、8台のUPSユニットの場合、少なくとも10台のUPSが必要です。 同様に、N+2 の冗長設計では、2 つのコンポーネントが追加されます。つまり、N+XはN+X個の余分なコンポーネントを提供し、複数の故障が同時に発生した場合のリスクを軽減します。
2Nモデル
2N冗長化モデルでは、元のUPS、冷却システム、発電機の配置の鏡像が作成され、完全なフォールトトレランスに対応できます。つまり、容量要件を満たすために、4台のUPSが必要な場合、冗長アーキテクチャにはさらに4台のUPSが含まれ、合計8台のシステムが構成されるようになります。また、そのモデル設計では、2つの独立した配電システムを利用します。 2Nモデルでは、データセンターのオペレーターは通常の運営を中断することなく、コンポーネント全体を停止してメンテナンスができます。また、予定外にプライマリアーキテクチャに障害が発生した場合、追加したコンポーネントが引き継いでフル稼働を維持します。
2N+1モデル
2N+1モデルでは、フォールトトレランスな2Nモデルに、予備機を追加します。このモデルでは、複数のコンポーネントの故障に耐えられるだけでなく、プライマリシステム全体がダウンした最悪のシナリオの場合でも、N+1冗長性を維持することができます。そのため、わずかなサービス停止も許されない大企業で一般的に採用されています。
3N/2モデル(AN/Bモデル)
3N/2、4N/3、より具体的にはAN/Bは、システムの負荷に応じて容量を追加する冗長化手法のことである。例えば、データセンターの電力供給インフラに3N/2の冗長性を適用することを考えてみましょう。この例では、2つのワークロード(2台のサーバー)に電力を供給する3台の電力供給システムが存在することになります。この場合、各電力供給システムは、特定の時間に利用可能な容量の67%しか使用しないことになります。
4N/3シナリオを考慮すると、4つの電力供給システムが3台のサーバーに電力を供給し、各電力供給システムは利用可能な容量の75%を使用することになります。
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