エッジコンピューティングを活かした「自動運転」とは
自動運転の開発において、車両に載せたセンサーのデータ処理を端末(エッジ)側で行なうエッジコンピューティングが活用されています。本記事では、エッジコンピューティングが求められる理由やデータ処理の活用事例について紹介します。
自動運転の技術
安定した自動運転を実現するには、周辺環境の把握と正確な現在位置の推定が欠かせません。レーダーセンサーやLiDAR(Light Detection and Ranging、近赤外光などを対象物に照射し、その反射光を測定することで対象物との距離や位置、形状を測定するセンサー)、カメラなどの複数のセンサーを車両に設置することで、周辺の車両や人、道路や構造物の形状などを認識できるようになります。またGPSやジャイロセンサ、車両の速度などのデータをもとに計算することで、車両の現在位置の推定が可能です。
このとき複数のセンサー情報から適切な判断を行なう必要があり、わずかな時間の遅れが大事故に発展する可能性もあります。このようなリアルタイム性が要求されるデータ処理を実現するには、車両に設置したサーバー上でデータ処理を行なう、エッジコンピューティングが求められています。
自動運転の活用事例
自動運転において車両のセンサー情報がどのように役立つのか、3つの事例を用いて説明します。エッジコンピューティングによりデータを処理することで、従来は人間が判断して対応していた危険リスクの回避が高速に実現できます。
事例1:前方を走行する車両を検知
●レーダーセンサーは機器からパルス状の電波を発射し、その反射波を測定することで、対象物との距離を検知します。
●エッジコンピューティングによって前方の車両との距離や相対速度を算出し、衝突の恐れがある際にはブレーキをかけるという判断を行ないます。
他にも、前の車が発進したことを知らせる機能や、渋滞時に前の車を追従する機能を実現します。
事例2:周囲の車両や道路形状の認識
●レーダーセンサーよりも高精度で、さまざまな方向に照射できるため、車両だけでなく道路や周囲の構造物など広範囲の状況を捉えられます。
●エッジコンピューティングによってセンサ情報から対象物との距離を算出し、周囲の障害物から適切な距離をとりながらの走行や、車線変更時の衝突防止などを実現します。
事例3:歩行者や交通標識などの認識
●カメラで撮影した画像から、歩行者や道路標識などの周囲の状況を読み取ることができます。
●エッジコンピューティングでは画像情報をもとに歩行者が目の前にいることを判定し、歩行者を避けるように走行することができます。
他にも、走行中に周囲の道路標識を認識して適切な判断をするといった応用も可能です。ただしカメラでは対象物の正確な形状や位置把握は困難であるため、夜間などの視界が悪い状況には不向きです。
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