フルークLANケーブル性能試験について
イーサネットケーブルは、家庭用・業務用を問わず、信頼性が高く安全な有線接続を確立するために不可欠な役割を担っています。市販のネットワークケーブルの中には、TIAやISOの性能要件を満たしていないものがあり、ミッションクリティカルなアプリケーションでは、ネットワークのダウンタイムやトラブルシューティングが頻繁に発生することになります。
イーサネットケーブルは、信頼性と規格を満たすために、TIA/ISO 規格で定義された厳しい仕様に適合するよう、専門的かつグラフィックな方法で試験または認証される必要があります。正しいLANケーブル性能試験は、システムの配線が不適切であるか、またはケーブルが損傷しているかを判断するのに役立ちます。フルークのネットワーク・ケーブル・テスターネットワーク・ケーブル・テスターは、技術者が認証サービスやテストに使用する便利なツールです。この記事では、主にフルーク・テストとは何か、フルーク・テスト・レポートの読み方について解説しています。
目次
パッチコード試験、チャネル試験、パーマネント・リンク試験について
フルーク・ケーブルテストとは
ケーブルテストでは、配線システムに使用される配線ケーブルの物理的な伝送特性を測定し、配線が正しいかどうか、あるいは、仕様や規格に定めた伝送性能を満たすかどうかを試験します。試験の結果により、合否判定レポートが出されます。合否判定の結果は、被験対象の規格適合性(長さ、挿入損失、反射減衰量など)を保証し、公的に認められます。フルーク・ケーブル試験に、パッチコード試験、チャネル試験、パーマネント・リンク試験という3つの試験が設けられ、ツイストペアケーブルリンクの性能を確認するために、設置業者やエンドユーザーによって採用されています。
フルークテストを行う理由とは
ユーザーは、イーサネット・ネットワーク・ケーブルが完璧に動作することを期待していますが、一部のユーザーは、インストール時に手を抜いてケーブル・テスト・プロセスを省略する可能性があり、ケーブルの問題を発見できず、ネットワークのダウンタイムに直接つながることがあります。この問題は、専門的なテスター (フルーク・ネットワーク・テスターなど) を採用することで回避でき、障害を迅速に特定することができます。
フルーク・テスターは、ケーブルのトラブルシューティングに関して、高い精度を維持しながら、素晴らしい能力を発揮します。クロストーク、リターン・ロス、シールド障害などの障害をグラフィカルに表示できるだけでなく、テスト結果を分析し、専門的なフルーク・テスト・レポートを提供することができます。さらに、Fluke テスターを使用すると、後で参照できるようにテスト結果を追跡およびアーカイブできます。同じネットワークが数年にわたって複数回テストされる可能性があるため、参照するデータを用意することは特に重要です。プロなフルーク・ネットワーク・テスターを使用すると、さまざまなテスト結果やネットワーク・テスターの情報を 1 か所にまとめておくためにソフトウェアをダウンロードでき、仕事の管理が容易になります。以下のコンテンツでは、フルークのさまざまな試験について詳しく説明しています。
パッチコード試験、チャネル試験、パーマネント・リンク試験について
パッチコード試験
パッチコード試験では、パッチコードの物理的な伝送特性を測定します。合格だと判定されたケーブルに高い性能・耐久性・安定性という特徴が備わり、大規模あるいは高速化するデータセンターで使用されます。下記の図に示すように、銅パッチコードの両端をそれぞれのテスターに接続し、テスト・アダプタの嵌合部分も被験対象の一部と見なされ、パッチコード試験を実行します。また、ネットワーク・リンクの定義の中には、ケーブルの長さが規定されています。チャネル100mとすると機器コード、パッチコードおよび端末コードの合計長は、10m以下でなければなりません。合計の長さが10mを超えた場合、チャネル試験で基準面間を測定する必要があります。データセンター内の隣接ラックを繋ぐ銅パッチコードを測定する際に、パッチコード試験を行うわけです。
チャネル試験
下記の図はチャネル試験構成を示しています。チャネル試験の場合、TIAおよびISO/IEC規格に基づいて、RJ45 プラグとテスト機器の嵌合部分を含まない部分のみが被験対象になります。チャネル試験でイーサネットパッチ・コード 、バルクケーブル 、pre-terminated トランクケーブルを測定することができます。また、チャネル試験における被験対象の最大長(チャネル内の全長)が100mのため、チャネル試験に合格したアイテムが必ずパッチコード試験に通れるわけではありません。
パーマネントリンク試験
パーマネントリンクとは、水平ケーブルの両端の接続部を含む水平配線サブシステムの伝送経路ということです。例えば、バルクケーブル、pre-terminated トランクケーブルを経由した伝送機器から端末機器までの経路だけでなく、両端の機器の接続部も含む物理長が被験対象になっています。パーマネントリンク試験における測定の基準面間は下記の図に示すように、テスト・アダプタの一部が被験対象外になっています。配線の規定として、チャネルの物理長は100mをこえてはならないことに対して、パーマネントリンクである水平ケーブルの物理長が90mを超えてはなりません。
フルーク・テストレポートの見方
ケーブル試験のレポートを参照にすることで、合否の判定を行います。下記の図に示すように、結果が合格である場合、チェックマークが右上に表示されます。それに対して、測定器の確度のバラツキによる合否判定の不確かさ、さもしくは不良を意味するアスタリスク(*)が試験結果に表示されることもあります。レポートを分析するに当たって、記載される数多くの指標の意味を把握し、それを正しく解読しなければなりません。
NEXT(Near-End Crosstalk:近端漏話減衰量):NEXTは、影響を与えるペアと影響を受けるペアの信号強度の差の測定値です。撚り密度を高くしないと、通話中に他の回線の通話が漏れて聞こえるという現象が発生し、その現象は近端クロストーク(NEXT)とも呼ばれます。LANの場合では、ワイヤーのある1つのペアに流れる強い信号が、隣接するペアによって拾われるときにNEXTが生じます。
PS NEXT(Power Sum Near-End Crosstalk):PSはPower Sum(電力和)の略です。ギガビット・イーサネットでは4対のペアを利用するので、すべての対間の組み合わせで発生するNEXTを検証しなければならないのはPS NEXTです。
ACR-F(Attenuation Crosstalk Ratio Far-End):ACR-FはFEXTと挿入損失の差を意味します。
PS ACR-F(Power Sum Attenuation Crosstalk Ratio Far-End):前出のACR-Fを、PSACR-Fとしたもので、PS FEXTと挿入損失の差を意味します。
ACR-N(Attenuation Crosstalk Ratio Near-End) :ACR-NはNEXTと挿入損失の比で表されます。配線の挿入損失が小さいほど本来の信号レベルが大きく、受信側ではNEXTが小さいほど本来の信号を妨害する漏話が少ないと考えられます。
PS ACR-N(Power Sum Attenuation Crosstalk Ratio Near-End) :前出のACR-NにおけるNEXTをPSNEXTとしたもので、PS NEXTと挿入損失の比を意味します。
RL(Return Loss、リターン・ロスや反射減衰量とも呼ばれる) :インピーダンスの不連続箇所で信号のエネルギーが100%伝送されず、伝送されなかった信号が反射波として送信元に戻るという現象が発生した場合、伝送信号と反射波の差は反射減衰量で表します。
結論
ネットワーク技術が発展を続ける今日の業界において、ネットワークを支えるⅬANケーブルのインフラは、エンドユーザーが必要とするデータ通信をサポートするために、適切な伝送能力を提供することが求められています。市場のニーズとフルーク・テスト・プログラムの結論により、すべての FS のパッチコードは、業界の TIA/ISO 規格の全要件に対して 100%テストされています。Cat5eケーブル、Cat6/6aケーブル、Cat7 ケーブル、Cat8 ケーブルを含むこれらのイーサネットケーブルは、データセンターネットワークにおける1000Base-T/10GBase-T および 25GBase-T/40GBase-Tの適用をサポートするのに十分なパフォーマンスを備えています。
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