MTPケーブルとMPOケーブル、その違いとは?
ビッグデータ時代に注目を集めたクラウドコンピューティング技術の活用に伴い、データ伝送速度と伝送路容量の強化を望む声も高まっています。データセンターにおける40/100Gネットワークの利用が段々と普及されていると同時に、MPOケーブルの代わりにより優れた性能を持つMTP®ケーブルはデータセンターのネットワーク配線でよく用いられる主役となりました。MPOとMTP®ケーブルを比較する際に、後者が選ばれた原因とは何でしょうか。また、MTP®ケーブルが先に撰ばれる理由は一体何でしょう。この記事では、それらの質問を踏まえて一緒に見てみましょう。
目次
MPOケーブルとは
MPOケーブルは「マルチファイバー・プッシュオン (Multi-Fiber Push On)」の略称で、両端MPOコネクタ付きのファィバケーブルのことを指します。八本以上のファィバを集約したリボンケーブル用のコネクタとして、片方のMPOコネクタは複数本ファィバとの接続に対応し、高密度・広帯域幅向けの配線ソリューションを実現することが可能です。
MPOケーブルはIEC規格の61754-7とU.S.TIA-604-5規格に適合します。現在、一番よく使用されているMPOケーブルは8芯、12芯、16芯ですが、場合によって24芯、32芯、48芯、72芯のケーブルが採用されることもあります。
MTP®ケーブルとは
MTP®ケーブルは「マルチファイバー・プッシュオフ (Multi-Fiber Push Off)」の略称で、両端MTPコネクタ付きのファィバーケーブルのことを指します。MTP®コネクタがUSConec(アメリカコネック)社所有のMPOコネクタに属し、商標として登録されたため、MTP®コネクタに対する改良特許もアメリカコネック社が持っています。
MTP®コネクタの互換性が高く、MPOコネクタを置き換えたり、他のMPOベースのインフラストラクチャに接続したりすることも問題なくご利用いただけます。ただし、通常のMPOコネクタと比べ、MTP®コネクタのほうが複雑な環境に適応し、より優れる機械的性質・光学性能をもちます。
MTP® vs MPO:そもそも両者の違いとは
MTP®ケーブルとMPOケーブル、根本的な違いは光ファィバケーブルの両端についたコネクタにあります。MPOケーブルの改良バージョンとして、複数の革新的な設計を備えた高性能 MPO コネクタ付きのMTP®ケーブルのほうがより高い機械的性質・光学性能を示しています。
MTP® vs MPO:構造設計における違い
ピン クランプ(Pin Clamp)
通常、MPOコネクタがプラスチック製のピンを使用します。そのため、度重なるコネクタ嵌合によって、プラスチック製のピンの耐久性が低下し、ケーブル故障に繋がりかねません。それに対して、MTP®コネクタは金属製ピンを使用し、クラスプでピンを固定したことで、嵌合時のピン折れ・ピン曲げを最大限に防ぎました。
また、MTP®コネクタの中にある楕円形のバネによって、リボンファィバとバネとの隙間が最大限に拡大し、挿入時に発生しかねないコネクタの故障を防ぎました。
嵌合方式のピンクランプと楕円形のバネによって構成されたMTP®コネクタの中にバネシートが設けられることで、リボンケーブルとバネとのギャップを拡大させ、ケーブル故障のリスクを減らすことができます。
フローティング フェルール(Floating Ferrule)
機械的性質を高めるために、MTP®ケーブルはフローティング フェルールを使用しています。その原因はMTP®コネクタ内のフェルールをフローティングさせることで、負荷がかかる場合にも嵌合ペアとの物理的な接続を保ちながら作動するようにできます。
それに対して、MPOコネクタはフローティング フェルールを使用していません。その特性によって、フローティング フェルールはアクティブTx(送信)/Rx(送信)デバイスに直接的に挿入するケーブルを備えた装置の重要な一部となりました。MTP®コネクタが新しい平行光学Tx(送信)/Rx(送信)デバイスのなかでよく使用される理由もそこにあります。
ガイドピン(Guide Pin)
シングルモードファィバとは違い、マルチモードファィバコネクタのアダプタは粗調整しかできません。そのため、二つのMTPフェルールを正確な位置まで嵌合するのにガイド ピンは極めて重要な存在です。
また、使用されたガイド ピンも異なります。ステンレス楕円形ガイドピンを使用したMTP®コネクタの測定精度は高いが故に、デブリがガイドピンやフェルールの端面に落ちる可能性を下げました。それに対して、デブリ対策において、面取り形状のガイドピンを使用したMPOコネクタはMTP®コネクタに劣っています。
MTP®ケーブルの取り外し可能なハウジング
MTP®とMPOを比較する際に、その外部に包むハウジングを取り外せるかどうかは要素の一つです。ハウジングを取り外せるように設けられたことによって、MTP®コネクタのフェルールを再加工・再研磨することができるようになりました。また、性能テストを簡単に行い、組み立て後・現場での極性再調整も容易になりました。 ちなみに、MTP®PROケーブルと呼ばれるMTP®ケーブルがあります。MTP®PROケーブルは製品の品質・性能を確保したと同時に、ケーブルの性別・極性を現場でも簡単に変更することができます。
MTP® vs MPO:光学性能における違い
挿入損失
長年に渡り、すでにネットワーク構造の国際的な基準として認められたMPOコネクタは改良され、MTP®コネクタへの進化を遂げ、光学損失、パケットドロップなどの問題を最小限に抑えることを実現しました。MTP®ケーブルに取り付くMTP®コネクタによって、オス(挿す側)とメス(挿される側)との正確的な接続が確保され、高密度配線システムにおけるデータ伝送時に発生する挿入損失・反射損失の防止も可能になりました。それだけでなく、MTP®技術の発展に伴い、挿入損失率がさらに低減し、現在では何年前のシングルモードコネクタと同じレベルになりました。
信頼性
昔のMPOケーブルと比べ、改良したMTP®ケーブルを挿入しても、予想外のバンプが発生したり、信号が不安定になったりすることがありません。MTP®仕様に基づき、コネクタデザインを変更したことで、嵌合するフェルール間の垂直抗力が完全に中心に向かうことになり、研磨されたファィバの先端との物理的な接続可能も確保しました。正確な位置決めをするためのガイドピンも楕円形に変更し、度重なる挿抜によるデブリ混入・物理損傷の発生を予防しました。以上のような精度改良によって、MTP®コネクタの信頼性・安定性・耐久性が大幅に高まりました。
今後のトレンド
MTP®コネクタは20年以上の改良と進化を経て、新世代を迎えようとしています。新しいMTP®コネクタの導入によって、マルチファィバコネクタがより統合的になり、信頼性も一層高まると考えられます。
高速・高密度・完備したネットワーク配線ソリューションがトレンドになっている現在、MTP®コネクタの拡張性が重んじられています。例えば、32、16、8本のファィバによって構成される400Gイーサネットです。先端技術のおかげで、MTP®コネクタはすでに様々な使用環境の中で利用されています。例えば、高湿度・極熱・極低温などの温度変化が激しい環境です。
さらに、MTP®ケーブルの普及によって、メガクラウド、ビッグデータ、大規模コンピューティングなどのようなネットワーク技術が急速な進化を遂げたわけです。新しいMTP®コネクタはただファイバ間の接続のために設けられたわけでなく、それに関連する垂直産業(金融・医療・教育など)への導入や普及も期待されています。
MTP®とMPOケーブルに関するQ&A
Q: MTP®コネクタはMPOコネクタの一種類ですか?
A: はい。MPOコネクタの改良バージョンとして、MTP®コネクタはより高い機械的性質・光学性能を持っています。
Q: MTP® Eliteとは?
A:普通のMTP®ケーブルと比べ、MTP®Eliteケーブルのほうが挿入損失が低いです。嵌合ペアにおける挿入損失の最大値はわずか0.35dbです。それに対して、マルチモードファィバケーブルの場合は0.6dbです。ちなみに、シングルモードファィバケーブルの場合は0.75dbです。
Q: MTP® Proケーブルとは?
A:MTP®ProパッチコードにもともとMTP®Proコネクタが取り付き、工場での研磨による低損失が実現されたため、シンプルで信頼性の高い製品として使われています。製品の品質・性能を確保すると同時に、現場で極性やピンを簡単に変更することもできます。
Q: 高密度ネットワーク配線システムを構築するために、MTP®とMPOケーブルどちらを選べばよろしいですか?
A:両方ども高密度ネットワークの構築に向いていますが、MPOケーブルの改良バージョンとしてのMTP® ケーブルのほうが高い機械的性質・光学性能をもちます。そのため、MTP® ケーブルをおすすめします。MTP® ケーブルをご利用いただくことで、柔軟で拡張性の高いネットワークを構築し、専門業者に頼らなくても自力で性別・極性を変更することができます。
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