ToR vs EoR:それぞれの配線の違いを解説
接続するサーバーの台数が多いな場合(データセンターなど)、ネットワークには大規模な設備に計算能力をサポートする柔軟性が必要です。この状況で配線を考える際に、代表的な2つの考え方がTop of Rack(ToR)とEnd of Row(EoR)です。今回は、ToRとEoRについて紹介しましょう。
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目次
End of Row(EoR)とは
End of Row(EoR)はサーバーラックに集約された各サーバーをネットワークラックにおけるスイッチまで一つ一つ直接に配線する方法です。そのため、End of Row(EoR)アーキテクチャで構成する場合、サーバーラックとネットワークラックは分離していることが明らかに見えます。一般的に、ネットワークラックはラック群の端っこ(End of Row)に配置することが多いため、その名称になっています。以下の図に、End of Row(EoR)アーキテクチャを示しています。
EoRスイッチはEoR アーキテクチャのネットワークラックに集中的に配置されるスイッチです。EoRアーキテクチャでは、キャビネット単位でなく、列単位で管理されるため、EoR スイッチへの要求は高くなり、EoR スイッチが故障すると、サーバーラックに影響する可能性があります。
Top of Rack(ToR)とは
Top of Rack(ToR)はネットワークトポロジー概念の一つで、通常各ラック内に2台ぐらいのスイッチを配置し、そこからラック内のサーバーに配線する方法です。その名の通り、ToRはラックの最上部にスイッチを配置できます。実は、ラックの最下部また中部にも配置できます。ただし、実際に設置したところ、ラックの最上部のほうがアクセスしやすく、ケーブルの取り回しがいいということになります。この名称はただ概念を表すので、スイッチはラック内のどこに配置されても、「Top of Rack(ToR)」と呼びます。
ToRアーキテクチャに設置されるスイッチをToRスイッチと呼びます。小さければ小さいほどよいため、ToRスイッチは一般的に1Uー2Uのボックス型スイッチです。関連記事:「ToR(トップオブラック)とは?データセンター向けのToR/Leaf アーキテクチャ」
それぞれのメリットとデメリット
EoRとToRのアーキテクチャにはそれぞれのメリットとデメリットがあるため、適したアーキテクチャを選択する場合は、応用シーンや実際の状況に応じて判断する必要があります。以下の表にそれぞれのメリットとデメリットを示しています。
End of Row(EoR) | Top of Rack(ToR) | |
---|---|---|
メリット |
●管理するスイッチと集約するポートの数が少ない ●長寿命・高可用性・省消費電力 ●モジュール式のプラットフォームを実現 |
●ケーブル量が激減するため、配線ペース・配線コスト・メンテンコストを削減 ●最小限のコストで1G/10Gの帯域のネットワークを将来的には10G/40Gの高速ネットワークに変更できる ●モジュール式の展開が簡単に可能 ●ラックごとに独立したアーキテクチャで、ラックごとのアップグレードや変更が簡単 ●ユニファイドファブリックのトポロジーを構築できる |
デメリット |
●高価な、硬くてかさばる配線ネットワーク ●複雑な管理やケーブルメンテナンス ●ケーブルの品質がネットワーク全体の帯域幅に影響 ●ラックごとのメンテナンスがよくない ●将来性があるより、将来問題が出てくる可能性がある |
●分散型ネットワーク設計のため、より多くのスイッチが必要 ●メンテナンスコストが高い ●スイッチの使用率が低い可能性がある ●電力や冷却システムの浪費 |
EoRアーキテクチャはスケーラビリティへの要求が低い従来型のデータセンターに適しています。その一方で、ToRアーキテクチャはスケーラビリティへの要求が高く、高速でネットワーク構造が明確なデータセンターに適しています。したがって、ToRアーキテクチャは高速化、ネットワーク構造の明確化、ケーブル管理の簡素化により、最新のグリーンでエネルギー効率の高い高速データセンターの要件により合致しています。では、現在スケーラブルなデータセンターにどのようにToRアーキテクチャを構成しますか。また、どのようにToRスイッチの選択しますか。続けてみましょう。
ToRアーキテクチャでのToRスイッチの選択
ToRアーキテクチャはスケーラブルなデータセンターに適していますが、スイッチのポート利用率の低さや構成管理・メンテナンスの困難さといった問題を避けるため、ToRスイッチを選ぶ際にはポート数、アップリンクレート、スイッチの機能などを考慮する必要があります。
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サーバのポートレートが1Gの場合、24個以上のダウンリンクの1Gポートと10G以上のアップリンクレートを備えた10Gスイッチ(FS S3900-48T4S)を選択すれば、ネットワーク接続を満たすことができます。
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サーバーのポートレートが10Gの場合、24個以上のダウンリンクのポートと40G以上のアップリンクレートを備えた40Gスイッチ(FS S5860-48SC)を選択してください。
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サーバーが大量のトラフィック伝送を行う場合、ネットワークの安定性を確保するために、豊富な3層機能と複数のレートポート構成を持つ100Gスイッチ(FS S5850-48S2Q4C)を選択できます。
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注:●ポートの使用率の問題については、サーバーラック内のスイッチポートが十分に活用されていない場合、隣接するサーバーラックとの配線により、ポートの無駄をある程度に減らすことができます。
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注:●大量のToRスイッチの設定や管理の難しさを軽減するためには、ZTP機能を持つスイッチを選んだほうがよいです。 スイッチはUSBメモリやファイルサーバからバージョンファイルを取得して自動的にロードすることができるので、導入の効率を向上させます。
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