クラウドにおいてデータセンターのセキュリティはなぜ重要なのか?
急速なデジタル化とクラウドへの移行を特徴とするデジタルトランスフォーメーションは、あらゆる業界でますます普及してきています。デジタル・トランスフォーメーションは、コストの最適化、スケーラビリティ、効率の向上など、いくつかのメリットがありますが、一方でサイバーセキュリティ上のリスクも伴っています。
幸いなことに、一部のクラウドサービス事業者は、潜在的な攻撃からクライアントのデータを保護するための高度なセキュリティ対策を提供しています。以下では、クラウドのデータセンターのセキュリティの詳細と、企業のデータとアプリケーションを確実に保護するための対策について説明します。
データセンターのセキュリティとは何か、なぜ注意する必要があるのか?
データセンターのセキュリティは、データセンターの中核となるコンポーネントを不正なアクセス、盗難、または破損から保護することです。データセンターのコンポーネントはすべて機密データにコンタクトするため、安全な状態に保つ必要があります。
ここ数年、サイバー攻撃が多発しているため、データセンターのセキュリティは企業の最優先課題となってきました。Statistaの調査によると、回答者の64%がデータ損失/漏洩を主な懸念事項として挙げています。その他の課題としては、データプライバシーの問題、機密情報の偶発的な暴露、法律や規制の遵守などが挙げられます。
企業のデータセンターは、顧客、従業員、財務、サプライヤー、ベンダーなどに関するすべての重要なデータへのゲートウェイです。このデータのコントロールを失うと、ビジネスに悪影響を及ぼす可能性があります。特に、バックアップがない場合は、事業の停止を意味することになります。即ち、データセンターのセキュリティを確保することで、重要な情報をあらゆる潜在的な脅威から守ることができ、ある程度の安心感を得られます。
データセンターは、オンプレミスとサードパーティクラウドデータセンターの2種類に分類できます。この2つのタイプから、データセンターのセキュリティはオンプレミスデータセンターのセキュリティとサードパーティクラウドデータセンターのセキュリティの2つに分類されます。以下、その2つの概要について説明します。
オンプレミスデータセンターのセキュリティ
事業所内部に設置されたデータセンターの場合、物理的なセキュリティと仮想/ソフトウェアセキュリティを維持することは、事業主の責任です。自然災害のない安全な場所を選ぶだけでなく、ハードウェアコンポーネントへの物理的なアクセスを制限するために、データセンターのセキュリティに適切な投資が必要です。また、セキュリティの脆弱性を特定して修正するための自動化されたサイバーセキュリティおよびコンプライアンスソフトウェアを導入することもお勧めします。
サードパーティデータセンターのセキュリティ
データセンターがサードパーティによってホストおよび管理されている場合は、面倒な作業を行う必要はありません。ただし、組織のネットワークとサービスプロバイダーのネットワークを接続する通信リンクを保護する必要があります。
データセンターのセキュリティを維持する方法
組織で使用しているデータセンターの種類によって、維持する必要のあるセキュリティのレベルが異なる場合があります。前述したように、サードパーティのクラウドサービスプロバイダーは、サービスプロバイダーのネットワークにアクセスするために使用するハードウェアとソフトウェアを除き、ほぼすべてを代行処理します。
データセンターをオンプレミスにある場合、最高レベルのセキュリティを提供することも可能です。最高の結果を達成するには、データセンターのセキュリティソリューションや優秀な人材により多くの費用をかける必要があるかもしれませんが、これには常に投資する価値があります。
同様に、オンプレミスとクラウドのハイブリッドのクラウドインフラを運用している場合、クラウドセキュリティを運用戦略の重要な部分にする必要があります。ここでは、組織内でデータセンターのセキュリティを維持する方法をいくつか紹介します。
定期的な監査の実施
定期的な内部監査により、クラウドインフラのセキュリティの脆弱性が実際の脅威になる前に特定することができます。社内のIT専門スタッフが監査を実施することも、サイバーセキュリティ会社に脆弱性のスキャンを依頼することもできます。優先すべき領域としては、アクセス制御システム、電子ロックとパスワード、特権アクセス管理などがあります。また、業務手順やシステムにおける職務上の役割の変更に応じて即時更新が行われるようにすることも必要です。
アクセスコントロールシステムを考え直す
組織の包括的な監査を行った後は、攻撃を受けやすいエリアのアクセス制御を改善する方法を開発する必要があります。例えば、生体認証システムの利用やサーバールームのビデオ監視の強化などのセキュリティ対策を考慮に入れることを提案します。
セキュリティ対策の強化、従業員の教育と意識向上
データセンターのセキュリティを強化するために設計されたセキュリティ対策やガイドラインを確実に準拠するには、従業員が自分の行動に責任を持つような厳格なポリシーを実施する必要があります。また、データセンターのセキュリティとサイバーセキュリティに対する組織全体の意識を高めるために、従業員のトレーニングや教育プログラムも併せて行う必要があります。
データセンターインフラに投資する
データセンターのセキュリティを強化させるもう一つの重要なステップは、最高レベルの保護を維持するために必要なリソースを確保することです。これには、ハードウェアやソフトウェアソリューションなど、データセンターの主要なインフラが含まれます。最善の結果を得るためには、すべての機器が高品質で最新かつ効率的であることを確認する必要があります。OS(オペレーティングシステム)、Webブラウザ、オープンソースコンポーネント、IoTデバイスで一般的なゼロデイ攻撃を回避するために、ソフトウェアソリューションを定期的に更新する必要があります。
優秀なサイバーセキュリティ人材に投資する
オンプレミス、クラウド、ハイブリッドのいずれのデータセンターを運用している場合でも、社内に有能なサイバーセキュリティ専門家を配置することは常に必要です。ハイエンド技術やサイバーセキュリティソリューションへの投資は素晴らしいことですが、それらのツールを活用できる適切な人材がいなければ、データセンターのセキュリティを確保するのは依然として困難です。従って、クラウドセキュリティに関して組織を正しい方向に導くために、優秀なサイバーセキュリティ人材の採用、オンボーディング、リテンションは常に優先すべきことです。
セキュリティファーストの組織文化
サイバーセキュリティ侵害の95%近くがヒューマンエラーであることから、サイバーセキュリティと組織文化は高い相関性を持っています。従業員がサイバーセキュリティに関することをより意識し、警戒するようになれば、サイバー攻撃が発生する可能性を減らすことができます。クラウドセキュリティを企業文化の一部にすることで、従業員はサイバーセキュリティの倫理をより理解し、大切にするようになります。これにより、従業員は組織全体でこれらの価値観を実践できるようになります。
結語
オンプレミスであれ、クラウドであれ、すべてのデータセンターはサイバー攻撃に対して脆弱です。そのため、脆弱性を特定し、適切な措置を講じることにより、あらゆる点でサイバーセキュリティを優先する必要があります。
オンプレミスのデータセンターでは、データをより詳細に把握して制御できるため、特定的な、さらには高度なセキュリティ対策を講じることができます。しかし、これにはコストがかかり、多くの企業は必要なリソースやスキルを利用できない可能性があります。
一方で、ほとんどのクラウドプロバイダーは、クラウドセキュリティのニッチ分野における十分なリソースと専門知識のおかげで、より高いレベルのセキュリティを提供しています。しかし、これによりデータに対する制御が低下するため、オンプレミスとクラウドのデータセンターソリューションを組み合わせたハイブリッドクラウドを採用せざるを得ない組織もあります。また、パブリッククラウドと社内のプライベートクラウドを組み合わせたマルチクラウドソリューションを使用している企業もあります。
どのようなデータセンターインフラを選ぶにせよ、急速に変化する規制状況に対応しながら、機密データを安全かつ確実に保護するためには、サイバーセキュリティが必要です。
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