オンプレミスとクラウドデータセンターの比較:どちらがビジネスの最適な選択?
すべてのビジネスや企業には、組織内の各部署で共有したりアクセスしたりする必要のある一連のデータやアプリケーションがあります。このようなデータは、簡単に検索できるところにセットアップして保存する必要があります。
従来、企業は事業所内にあるサーバーハードウェアにのみ依存し、ローカルネットワーク経由でデータの保存とアクセスを行っていました。しかし、DX(デジタルトランスフォーメーション)により、いくつかの企業がクラウド移行の取り組みを始めました。現在、ほとんどの企業は、両方の利点を併せ持つハイブリッドクラウド戦略によって、オンプレミスとクラウドのデータセンターを運用しています。
オンプレミスとクラウドのデータセンターは、それぞれメリットとデメリットがあります。それについては、以下のセクションで詳しく解説します。
データセンターとは?そしてなぜ重要なのか?
データセンターは、ビジネスに不可欠なアプリや情報を保存する物理施設またはクラウド施設として定義されています。データセンターは、ストレージ、コンピュート、ネットワークの3つのグループに分類できるいくつかの要素で構成されています。
コンピュート要素(compute element)は、アプリの実行に必要な処理能力とメモリを表し、多くの場合、ハイエンドサーバーによって提供されます。
ストレージは、企業のデータを保存するために使用されるメディアのことです。テープ、ハードディスク、および複数のバックアップを備えたSSD(Solid State Drive)が含まれています。
一方、ネットワークは、データセンターのコンポーネントとルーター、コントローラー、スイッチなどの相互接続で構成されています。
現在、多くの企業がデータの一部をクラウドでホストしているため、信頼性、セキュリティ、効率性が最重要視されるようになってきています。最新のデータセンターは、クラウドとオンプレミスの複数のサイト間で通信することが求められています。このインフラは、物理データセンター全体およびマルチクラウド環境へのワークロードとアプリケーションをサポートします。
オンプレミスとクラウドのデータセンターの基礎知識
オンプレミスとは、自社内に物理的に設置されたデータセンターのことです。自社のITスタッフは、サーバーのメンテナンスや、セキュリティソフトウェアのインストールとアップデートなどの定期的なメンテナンスサービスの実行を担当します。サードパーティーのクラウドサービスプロバイダーがホストするプライベートクラウドも、オンプレミスとみなされることがあります。この場合、企業はオンプレミスのソフトウェアをメンテナンスし、サービスプロバイダーはプライベートクラウドを監督します。
一方、クラウドデータセンターは、AWSやIBM Cloudなどのサードパーティーのクラウドサービスプロバイダーによって管理・運営されています。クラウドには、パブリックとプライベートの2種類があります。パブリッククラウドでは、他の企業とクラウドの計算資源を共有するため、安価なオプションとなります。プライベートクラウドは、計算資源を他の企業と共有しないため、比較的高価です。
オンプレミスとクラウドデータセンターの比較
クラウドとオンプレミスのデータセンターを選ぶ前に、共通点、相違点、メリットとデメリットを理解することが重要です。企業はそれぞれユニークなところを持っています。他の会社にとって最適なものが、自社にとって理想的であるとは限りません。ここでは、決断する前に考慮すべき要素を簡単に説明します。
共通点
クラウドとオンプレミスのデータセンターは、その運用方法に大きな違いがありますが、これらのソリューションは、アジャイルの実施と最新のITインフラを導入することにより、メンテナンスの負担とコストを削減することを目指しています。主な共通点は以下に示します:
柔軟なワークロード管理 - クラウド導入と同様に、オンプレミスでもクラウドコンピューティングを利用してワークロードを最適化できます。例えば、要件に応じて、一時的なソリューションとしてクラウド上で余分のワークロードをテストして実行できます。
最新の技術へのアクセス - クラウドとオンプレミスのどちらのインフラも、セキュリティと効率性を確保するために、最新の技術の組み合わせに依存しています。その技術には、管理プラットフォーム、オペレーティングシステム、アプリケーションプログラミングインターフェース(API)などがあり、これらが連携してデータセンターのスムーズな作動を保証します。
高度な自動化 - ITインフラの自動化は、クラウドやオンプレミス環境でも採用されています。これにより、手作業や繰り返しの作業から解放され、コスト削減やワークロードの最適化に役立ちます。
相違点
クラウドデータインフラを採用した組織は、事業所内でデータをホストおよび管理する組織と大きな違いがあります。その主な違いは、次のパラメータにあります:
コスト - オンプレミスのデータセンターではかなりの先行投資が必要ですが、クラウドでは従量課金制などのユーザー指向の購読サービスがあるため、比較的安価です。
データのセキュリティ - オンプレミスでは、データを完全に管理できるため、高度なセキュリティ対策を簡単に実施することができます。しかし、選択したクラウドサービスの種類によっては、データに対する直接的な管理を失う可能性があります。責任共有モデルを採用する場合は、データの安全性を維持するための責任と要件を理解しておく必要があります。
リソースの配置 - オンプレミスの場合、リソースの大半は事業所内に配置されますが、クラウドでは、リソースの大半はサードパーティーのサーバーに配置されます。
運用の拡張性と柔軟性 - オンプレミス導入は、クラウに比べて拡張性と柔軟性が劣ります。
コンプライアンスの問題 - ほとんどのオンプレミスの導入は、データコンプライアンスポリシーに準拠しています。しかし、クラウドデータセンターは、データを直接管理できなくなるため、デフォルトでデータコンプライアンスポリシーに違反することになります。
メリットとデメリット
2つのデータセンターの比較と概要をよりわかりやすくするために、以下のようにメリットとデメリットを示します。
クラウドデータセンターのメリット
-
ITに関する人件費を削減できる
-
多額の初期投資が不要になる
-
予算に合わせてサービスを調整できる
-
- オンプレミスに比べ、データのバックアップに優れる
クラウドデータセンターのデメリット
-
インターネット接続状況がユーザー体験を左右する
-
データの管理性が低いため、データの安全性が低下する可能性がある
-
ハイエンドの拡張性により、運用管理を怠るとクラウド導入コストが高騰する可能性がある
オンプレミス導入のメリット
オンプレミスのデータストレージは、企業のデータをより適切に管理できるほかに、次のようなメリットがあります:
-
インターネットにアクセスできない環境でも、すばやく便利な運用が可能
-
月々のITコストを削減できる
オンプレミス型データストレージのデメリット
-
社内でのITサポートが必要なため、保守費用がさむ
-
高度なデータセキュリティとバックアップ戦略の欠如により、データ損失のリスクが高まる
-
拡張性が低いため、将来的な事業発展や移行の際に多額のコストがかかる可能性がある
適切なデータセンターソリューションを選ぶ
クラウドとオンプレミスのデータセンターの共通点、相違点、メリット、デメリットがわかったところで、組織に適したソリューションを選択するのはさほど難しくないでしょう。
多くの場合、最適な選択肢は、独自のビジネスニーズ、コスト、個人的な好みに絞り込まれます。 金融など規制の厳しい業界であれば、ハイブリッドクラウドを検討することを推奨します。一方、中小企業であれば、ITコストの削減と拡張性の向上により、クラウド導入のメリットを受けることができます。
お勧めの記事
メールアドレス
-
レイヤ2(L2)スイッチとレイヤ3(L3)スイッチ、ルーターとの違いは?
2022年06月20日
-
ハブ、スイッチ(スイッチングハブ)、ルーターとは?違いを解説
2022年06月20日
-
電源コードの種類・規格について:国内規格と海外規格の選定
2022年06月09日
-
PoEインジェクター(パワーインジェクター)とは?
2022年06月24日
-
SFP・SFP+・SFP28・QSFP・QSFP28とは?規格、仕様、性能、選び方について解説
2022年06月10日