IP Fabricとは？基本概念と導入メリットを解説

近年、データセンターのネットワーク設計において、IP Fabric（IPファブリック）の導入が注目されています。IP Fabricは、スケーラビリティや信頼性、運用の簡素化など多くのメリットを提供するネットワークアーキテクチャです。本記事では、IP Fabricの基本概念とその導入メリットについて詳しく解説します。

IP Fabric（IPファブリック）とは？基本構成について

IP Fabric（IPファブリック）は、IPネットワークに基づくオーバーレイ（Overlay）技術で、主にデータセンターのネットワーク設計で使用されます。

IP Fabricの基本構成

IP Fabricというネットワーキング方式では、任意の2つのサーバー間の通信は3台のデバイスを超えず、各スパインとリーフノードが完全に相互接続され、スパインノードを拡張することでネットワーク規模の柔軟な拡張を簡単に実現できます。

IP Fabricアーキテクチャは、複数の高帯域幅のダイレクトパスで構成されており、ネットワークのボトルネックによって引き起こされる潜在的な伝送速度の低下を排除し、極めて高い転送効率と低遅延を実現します。IP Fabricネットワークのアーキテクチャーを下図に示します。

図1：IP Fabricの2階層ネットワークアーキテクチャ

従来の階層型アーキテクチャとその問題

従来の階層型データセンター・ネットワーク・アーキテクチャでは、事業継続性に影響する信頼性の低さ、スケーラビリティ（拡張性）に欠ける、ミスを起こしやすい手作業による運用・保守など、いくつかの問題を抱えています。 

これらの問題は、ネットワーク帯域幅の利用率の低下、やデータセンターの規模拡大の制限、ネットワークのボトルネック、非効率的なO&Mプロセスにつながります。

図2：従来の階層型アーキテクチャ

• ネットワークの信頼性低下は、事業継続性に影響：従来の階層型アーキテクチャは、主にVLAN+STP技術を使用しており、ブロードキャストとループの問題はネットワーク帯域幅の使用率の低下につながります。

• 低い運用・保守効率：従来のデータセンターには、FCストレージイーサネット、IBコンピューティングネットワーク、管理・制御ネットワークなどが含まれます。イーサネット、FC、IBネットワークはは分離されており、統一した運用・保守ができません。

• エラーが発生しやすい手動操作とメンテナンス：従来のネットワークサービス展開は半自動プロセスであり、大規模なデータセンターの場合、手動操作は多大な負担となり、ヒューマンエラーが発生しやすく、ネットワークサービス展開のボトルネックとなります。

IP Fabricの導入メリット

従来の階層型相互接続（アクセス/アグリゲーション/コア）ネットワークと比較して、モジュール構造に基づくIP Fabricネットワークは、より信頼性が高く、より効率的で、より優れたスケーラビリティ、より高いパフォーマンスを実現し、現在のデータセンターで広く使用されているアーキテクチャです。IP Fabricはネットワーク規模と容量拡張のボトルネック問題を完全に解決できます。

高いスケーラビリティ（拡張性）

• IP Fabricはフラットなアーキテクチャを採用しており、ネットワークのスケーラビリティと柔軟性が向上します。

• Closトポロジーを採用することで、ネットワークの水平方向の拡張が容易になります。

• 必要に応じてリーフスイッチやスパインスイッチを追加するだけで、ネットワークの規模拡張に対応できます。

高信頼性と耐障害性

• IP Fabricは複数の冗長パスを提供し、単一障害点を排除し、安定したネットワーク運用が可能です。

• リンクやデバイスの障害時にも、迅速な経路の再計算と切り替えが可能です。

運用の簡素化

• IP Fabricは標準的なルーティングプロトコル（主にBGP）を使用するため、設定と管理が比較的容易です。

• 自動化ツールとの親和性が高く、ネットワーク管理の自動化が促進されます。

これらのメリットにより、IP Fabricは特に大規模データセンターや急速に成長するネットワーク環境において、効果的なソリューションとなっています。

FSデータセンターファブリックソリューション

FSのデータセンターファブリックソリューションは、CLOSアーキテクチャを使用し、IP三層転送を組み合わせたモジュラー型のファブリックネットワークを構築します。10G/25G/100Gサーバーおよびストレージ、40G/100G高速相互接続に対応します。

事業継続性：高信頼性ネットワーク、完全冗長化負荷、単一のネットワーク機器やリンクの障害は業務に影響なし

優れた費用対効果：イーサネット技術に基づくHPCネットワークの実現により、IBやFCと比較してネットワーク全体の構築コストを最大限に削減

自動化されたO&M：自動化された運用と保守により、大規模なデータセンター設備導入の手動操作が軽減・簡素化、O&M効率が大幅に向上

導入事例：FSファブリックソリューションによる金融機関データセンターの構築

まとめ

IP Fabricは、データセンターネットワークにおいて、スケーラビリティ、信頼性、運用の簡素化を実現するための最適なソリューションです。FSのファブリックソリューションは、拡張性、信頼性、柔軟性、高性能、統合管理機能を備え、IP Fabricの導入をサポートします。ご興味をお持ちの方は、お気軽にお問い合わせください。