マイクロデータセンターでエッジコンピューティングを実現

マイクロデータセンター（MDC）とは

　マイクロデータセンター（MDC）とは、従来のデータセンターを小型化したものですが、一般的なデータセンターに見られるストレージ、コンピュート、ネットワーキング、冷却、電源のインフラストラクチャをすべて備えています。ほとんどのマイクロデータセンターは、サーバーラック、ネットワーク機器、サーバー、ラック内冷却ツールを備えています。

　マイクロデータセンターは、冷蔵庫ほどのサイズに、中に必要な機器を設置し、簡単にどこにでも設置できるように設計された超小規模のデータセンターです。

エッジコンピューティングとは

 エッジコンピューティングとは「ネットワークの端末（エッジ）にサーバーを分散配置する」ネットワーク手法の一つで、その名を付けられました。生成されたデータをネットワークの中心に位置するデータセンターに送る代わりに、データをエッジに近づけることで、エッジコンピューティングによるデータの処理と分析を行うことができ、ユーザーへのデータフローをより効率的に管理できます。関連記事：「クラウドと異なるエッジコンピューティングとは？」

　これにより、大量のデータは近いエッジデータセンターにキャッシュされ、oTデバイス、さらには5Gネットワークから洞察を引き出すことが容易になります。また、データは短距離でエッジ施設からエンドユーザへ伝送することだけでよいため、企業は応答時間の短縮、迅速かつ深い洞察、顧客体験の向上などのサービスを受けることができます。

MDCでエッジコンピューティングを実現

　先ほど述べたように、エッジコンピューティングはエッジコンピューティングは、データ処理とストレージ機能をデータソースに近づける場所に処理を行うため、企業は集中型データセンターにあまり依存する必要がありません。

　一方、マイクロデータセンター（MDC）は、現実の環境においてエッジコンピューティングを強化するデータセンター設計の一種です。つまり、ネットワークのエッジにある物理的なデータセンターで、計算とストレージを実行するものです。超小型の特徴で専用冷却装置が必要なく、オフィススペースでも使用されています。

　ほとんどの場合、マイクロデータセンター（MDC）とエッジコンピューティングは、遅延、帯域幅、セキュリティなど、クラウドコンピューティングに一定の制限がある分野でますます注目するようになりました。例えば、金融サービスは、パブリッククラウドとエッジコンピューティング技術の両方を、MDCデータセンター設計で使用している業界の成功した完璧な例と言えます。

5Gマイクロデータセンターの台頭

　マイクロデータセンター（MDC）でスケールアップやスケールダウンができるため、将来的な成長や拡張を計画している企業にとって、このオプションは非常に魅力的なものです。

　5G、IoT・AIや機械学習機能に依存するアプリケーションの場合、パブリッククラウドに関連する帯域幅とレイテンシーのコストはかなり高くなる可能性があります。そのため、マイクロデータセンターは、拡張性と耐障害性を高めつつ、コストと導入期間を削減する究極のソリューションとなります。

　同様に、オンプレミスのデータセンターを検討している企業も、代わりにマイクロデータセンター（MDC）を採用することで、コストと時間を大幅に削減することができます。なぜなら、マイクロデータセンターはシンプルで、ほとんど手を加えることなく、すぐに使えるからです。

結論

　多くの企業や業界がエッジコンピューティングに重点を置いているという事実は、従来のデータセンター時代の終焉を意味するものではありません。実際、エッジコンピューティングとマイクロデータセンター（MDC）を活用する企業の多くは、独自のビジネスモデルに応じて、データの一部をパブリッククラウドやオンプレミスに保存することもあります。

　そのため、マイクロデータセンター（MDC）の導入を決定する前に、計画、設計、および実装について専門家であるIT企業に相談したほうがいいです。そうすることで、専門家のアドバイスが得られ、コストのかかる導入の失敗を回避することができます。