FCスイッチによるRAIDまでのマルチパス構成
マルチパス(Multipath)とは、特定のデバイスや装置までのパス(経路)を複数設定できる機能で、「パスの二重化」や「パスの冗長化」とも呼ばれます。そのような仕組みにより、RAIDシステム全体の冗長性・安定性が向上し、パフォーマンスをフルに使用することが可能になります。
目次
FCスイッチとは
ファイバーチャネル(FC : Fibre Channel)に位置するスイッチとして、FCスイッチ(下記、FCスイッチと呼ぶ)は複数のサーバとストレージを束ね、コンピュータとストレージの通信を中継し、SANを形成するネットワーク機器である。そのため、FCスイッチはSANスイッチとも呼ばれ、光ファイバーを生かした高速伝送・長距離データ伝送を実現することが可能である。
*注釈:SAN(Storage Area Network)とは、サーバの集合とストレージ(外部記憶装置)を結ぶ高速ネットワークのことであり、使用するプロトコルによりFC-SANとIP-SANという2種類に分けられる。
関連記事:「SANスイッチ(FCスイッチ)とLANスイッチ:その違いとは?」
RAIDとは
RAID(Redundant Arrays of Inexpensive Disks)とは、複数のHDDを組み合わせて1つのディスク(サーバー)として認識させる技術です。データを複数ディスクに分散して保存することにより、リスクが分散し、障害時の影響・損失を抑えることが可能です。
RAIDモードにはRAID0、RAID1、RAID10、RAID5、RAID6などが挙げられます。それぞれは異なる特徴・メリットを持っています。
関連記事:「RAIDレベルの違いを解説(RAID 0/1/10/3/4/5/6)」
マルチパス構成の目的
複数の物理RAIDストレージをいくつかのゾーンに分けて異なるシステムを組み込むことがあります。その場合、一台のネットワーク機器に障害が起きたら、ネットワーク全体が影響を受けてしまい正常稼働できなくなりかねません。マルチパスによる通信チャンネルの分散は問題解決に繋がります。
マルチパス(パス二重化)のメリット
フェイルオーバー機能による耐障害性の強化
フェイルオーバーとは、サーバや関連装置に障害が発生した場合に、同等の予備パス(経路)やシステムに切り替える機能ということです。自動的な切り替えにより、システムの停止時間・影響を最小限に抑えることが可能です。 2台ないしは複数台のFCスイッチをホストに接続し、RAID(サーバー)へのチャンネル(経路)を増やします。下図に示すように、マルチパス構成は4パスとなり、1台のスイッチが故障してもサーバとストレージの相互通信が可能です。
マルチパスによる高速通信のパフォーマンス向上
1パスだけフル稼働してもらうではなく、システム内の複数パスを利用することで通信速度が2倍上がります。もともと1パスに加えたはずの負荷を複数パスに分散することにより、パフォーマンスの向上も期待できます。
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